ライター、ワインエキスパート【冨永真奈美】

WINE & FOOD

ニューヨーク、オレゴン、ワシントンを20分間で巡るーエキサイティングなミニワイントリップー

ニューヨーク、ワシントン、オレゴンのワインセミナー

「FOODEX JAPAN 2024」(2024年3月5日(火)~8日(金)、東京ビッグサイト)にて、ニューヨークワイン&グレープ財団と米国ノースウェストワイン協会が特別試飲セミナー(3月5日1日限定、全4回、各20分間)を共催した。

各回とも特別講師はソムリエの太田賢一氏である。太田氏は20年のソムリエ歴を持ち、ミシュラン3つ星店を含む3店舗と業務提携を行う新世代型ソムリエだ。太田氏からテイスティングコメントやペアリングのアイディアを聞きながら、ニューヨーク、オレゴン、ワシントンのワインを4種類試飲した。筆者が参加したのは2回目。最初の2つはどちらもシャルドネで、産地や生産者のスタイルの違いが楽しめた。

ボタンウッド・グローブ・ワイナリー(ニューヨーク州フィンガーレイクス)のアンオークド・シャルドネ2021は、オークを使わず仕上げたアルコール度11.5%の軽やかなワインだ。柑橘系フルーツのピュアな香りから始まり、熟度の高い洋梨のニュアンスも出てくる。ニューヨーク州はモダンなテイストを追求している産地とのこと、それが実感できるワインだ。

一方、2つ目のシャルドネは、フランスのブルゴーニュ地方のボーヌにルーツを持つドメーヌ・ドルーアン・オレゴン(オレゴン州ウィラメット・ヴァレー)のラ・メゾネット・シャルドネ2019である。畑のあるダンディーヒルズはブルゴーニュ品種(シャルドネ、ピノノワール)のメッカとも言われ、シャルドネの本場であるブルゴーニュから持ち込まれた苗木でブドウを栽培しているという。ボタンウッド・グローブ・ワイナリーのシャルドネよりも色付きがしっかりとしており、ブドウの熟度や粘性の高さも感じられる。オレゴンではブルゴーニュ品種の新たな魅力が引き出され、オレゴンならでは独自のスタイルが築かれているとのこと。

同じくオレゴン州ウィラメット・ヴァレーから選ばれた3つ目のワインは、アンダーウッドのロゼ アーティスト シリーズ2022のロゼワインだ。ブドウ品種はピノグリ。ピンクグレープフルーツの爽やかな風味や、ポップなトーンのラベルなど、カジュアルな魅力にあふれている。バーベキューのおともとして、タンブラーに注いで気軽に楽しめるワインである。

4つ目のワインは、ワシントン州コロンビア・ヴァレーで作られたカベルネ・ソーヴィニヨンである。ワシントン州の赤ワインは、世界最強レベルのコスパを持つとのこと。雨の少ない砂漠のような乾燥した気候のなか、コロンビア川の水を利用してブドウを栽培している地域だ。サブスタンスというワイナリーが作ったこのカベルネ・ソーヴィニヨン2021は、カシスの豊かな風味が口に広がるスパイシーでパワフルなワインである。アルコール度が14.5%ある濃いワインだが、軽さもあり飲み疲れがしないワインと紹介された。

セミナーには小売店や飲食店の方々が多く集まり、ワインに関する感想やペアリングのアイディアが共有される場面も見られた。ブースに気軽に立ち寄り、ワインを楽しみながら学べるセミナーの形式も好評であった。約20分間という短時間ながら、ニューヨーク、オレゴン、ワシントンという重要なワイン産地を通して、アメリカワインの多様性が伝わった実りあるセミナーとなった。

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