ライター、ワインエキスパート【冨永真奈美】

WINE & FOOD

ギリシャチーズの夕べ――PDO(原産地呼称保護)の大切さを考える――

ギリシャワイン専門インポーター「ノスティミア」が開催した、『PDO(原産地呼称付き)ギリシャ産チーズを知る会』(2024年3月12日、Ivy Place/東京都渋谷区、ギリシャ大使館後援)に参加した。

このイベントは、全国農業協同組合連合会(ETHEAS)というギリシャの農業協同組合が母体となり、ギリシャのPDO(原産地呼称付き)食材の認知度を広めるために、日本だけでなく、シンガポールやベトナムでも開催されている。

PDO(原産地呼称保護)とは、1992年にEUにより設けられた品質認証制度のこと。製品の製造産地や方法を厳格に規定することで、消費者に高品質な製品を届けることを意図している。

この日に紹介されたPDOチーズは以下3種類(未輸入)である。

PDO

もちろんどのチーズも一度食べただけで

「このフレッシュさ、PDO Feta(フェタPDO)に違いない!原料は羊乳のみ、最大20%ヤギ乳が混入されている風味だ」

などと判別できるものではないだろう。

何度も食べるうちに「この産地でしか生まれないフレッシュでまろやかな風味だ」と分かるようになる。そして「このPDOのチーズが自分にとって一番美味しい」と思うようになるのだろう。きっと、ワインを原産地呼称で選ぶようになるのと同じことなのだろう。

PDOのメリットは製品の品質を守ることだけではない。特定の地域の伝統産業やその生産者を保護すること、そして地域経済の活性化や雇用維持を促進することも期待できる。つまり、長期的な経済政策になり得る優れたシステムなのである。

会場となったIvy Placeでは、PDOギリシャ産チーズを使った美味な料理がふるまわれた。Ivy Placeは、利用したい材料とメニューの方向性を伝えると、とても理想的なコースメニューを考案してくれるレストランとのこと。グリークサラダ、フラットブレッドピザ、スキレット・・・・・・どの料理も、ギリシャPDOチーズならではのきめの細かい舌の上で溶けるような味わいが活かされている。ペアリングされたワイン(サヴァティアノとマヴロダフニ)との相性も抜群で、コース料理をデザートまできれいに完食した。

ノスティミアさんのイベントはいつも本格的。それでいて、フレンドリーでアットホームな雰囲気があるからとてもリラックスできる。ギリシャ本国の生産地からオーガナイザーやマーケティングスペシャリストも来日しており、会話や質問を通じてチーズに関する造詣を深められる貴重な機会となった。

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