Foodexの4日間は、私にとって1年分に相当するのではないかと思うほどの多くの出会いがあった。ワイン、フード、そしてもちろん人々。
私がサポートしたのは、Domaine Sabanisという家族経営のワイナリーである。ワイナリーが位置するのは、アテネに近いAvlidaというワインづくりがさかんな地域。畑は標高200~300mの山間部にあり、エヴィア湾に近いので海の影響も受けるという場所だ。「これ海の近くのワイナリーでしょう?潮を感じる」と鋭いコメントを出す人もいた。ギリシャ料理レストランのオーナーである友人によると、「その地域のワインは日本にあまり入ってきてないの。珍しいのよ」とのことだ。
7種類のワインの説明トークは考えて、日本語でも英語でも空で言えるようにはしておいた。実際、日本人だけでなく、外国人もけっこう訪ねてきたので準備しといてよかった。
好意的なコメント、耳が痛くなる厳しいコメント、予想していなかった質問、純粋な興味からの質問、そしてもちろん価格含めビジネスの可能性を探る質問・・・・・・・。とにかく、いろんな意見を聞くことができた。
私は普段、ワインだけではなく、いくつか別の業界の仕事もしている。
共通するのは、製品やサービスとはその中身だけではなく、コピー、ロゴ、パッケージなどの外観を含めたブランディングが大事だということである。製品やサービスさえ良ければ必ず目当ての層に見つけてもらえて気に入ってもらえて買ってもらえるということは残念ながらほとんど期待できない。国境を超えて販売する場合はさらに難度が高まる。私の顧客は運用資産約80億ドルの巨大企業から、小規模の団体まで幅広いが、この点については共通していると思う。
なもので、仲良くなった別のワインブースの人々に、グラスに注いだワインだけを持って行って飲んでもらった。つまり、説明も、ロゴやパッケージやパンフレットも無い状態だ。すると、驚くほどより広がりのあるより興味深いコメントが聞かれたのだ。同じ会場に世界中からワインプロが集まっていたのだから、これほど良い機会は無かったのではと思う。
適切なアプローチをすれば、どの製品にも最適な市場がある。どの業界もそれは同じことだ。嗜好も市場も多様であり、ベストなマッチングが大切だと思う。
卸売会社の代表であるブース主のクリストスさんとは、かなり良いコンビを組めたのではないかと思う。私が知らないことはクリストスさんが知っているし、その逆もしかり。何よりもギリシャらしいゆったりした対応は、日本で常にキリキリ青筋を立てて働いている私にとって非常に新鮮である意味心安らぐ経験だった。
クリストスさんとは、これからのことを話し合っている。
クリストスさんとは毎日食事を取りながらいろいろ話し合った。クリストスさんだけではなく、ギリシャブースの人々と毎日夕食を食べた。素敵な人ばかりでほんとに楽しかった。なによりも、お隣のブースにNostimia さんがおられたことが大変に心強かった。Nostimiaは日本で20年間にわたり、ギリシャワインだけを大切に丁寧に広め販売している輸入会社である。いろいろ教えてくださり、助けてくださった。アサナシオスさん、由美子さん、万梨奈さんにこの場を借りて深く御礼申し上げたい。
Foodexは終わったが、何かが確実に始まった。