客船「飛鳥Ⅱ」の乗船取材を終えた。
ゴールデンウィークに広島の実家に帰ったとき、瀬戸内の多島美を文字で描きたいと思った。その機会が意外に早く訪れ、飛鳥Ⅱで瀬戸内海を巡ることとなった。
瀬戸内海を水平に横断する一般的なルートではない。来島海峡からしまなみ海道を左手に因島大橋まで航行し、小さな島々の間を縫うように三原瀬戸をクルーズするルートは飛鳥Ⅱ初の試みであるという。一定の条件が揃わないと実現しないルートとのこと、一番乗りできてうれしい。私が描きたい瀬戸の海と島々を眺めるのに完璧なルートだからである。
何よりもプロのフォトグラファーさんが風景を撮ってくれるのがうれしい。瀬戸内ならではの、空、海、島が混然一体となった、淡くかすんだような色を忠実に表現してくれるからだ。
瀬戸内の海の色そして海の魅力を謡った詩をベースに書こうと決めている。そんな文を書きたくて、これまで何度かいくつかの媒体に企画書を出したのだが実現しなかった。あきらめずにあたためておいてよかったと思う。
お仕事とはいえ、あまりにも快適な船上ライフを満喫している。「動く帝国ホテル」と呼ばれるだけあり、食事や船内イベントなどのサービスすべてが完璧である。船内wifiや電源付きビジネスデスクなどもあり、この数年注目されているワーケーションに理想的な環境も整備されている。
そしてワインも毎日楽しんでいる。Kenzo Estateの紫鈴 rindoと朝露Asatsuyuは飛鳥Ⅱの公式ワイン(またANA国際線ファーストクラスのワイン)である。陸上でも販売しているが、飛鳥Ⅱで飲もうと決めていたのでこれも実現できた。これらワインの素晴らしさは到底数行で書けないので何も書かない(笑)。また、三好ワイナリー(広島)のメルローとシャルドネのクオリティの高さに驚かされた。飛鳥Ⅱのソムリエさんが提案するワインと食事のペアリングを試すのも一興である。
8泊9日ではなくて、1年くらい乗っていたいものだ。