ニューヨーク、アーバンワイナリー、ロングアイランド、フィンガー・レイクス
マンハッタンを眺めるクルーズ
1998、2000、2010、2013、2016、2018、2024
1998から2018まで、断続的にニューヨークを訪れていた。目的は様々だった。
2010年と2013年の目的は、アメリカ人の友人たちの活躍を見ることだった。ライブショー、ダンスショー、スタンダップコメディ、アートエキシビジョン、ショートフィルムの発表・・・・・・。保険制度の抜本的改革を目指す活動家もいた。友人たちは世界で最もクールかつ競争の激しいニューヨークに住み、ニューヨーカーらしい活動をしていた。私はそんな生き方がうらやましく、ちょっと、いやかなり、ねたましい気持ちも抱いていた。
当時3歳と6歳だった息子も連れて行った。友人たちは多様性豊かなネットワークを駆使して、私たち親子をサポートし息子をとても可愛がってくれた。みんなへのお礼を兼ねて、滞在していたブルックリンのアパートで日本食のパーティを開いた。そのさいやはり大人気だったのは、天ぷら、肉じゃが、寿司、照り焼きチキンで、たくさん作り用意したのにあっという間に皿もナベもカラになった。ワインも飲んだ。「やっぱりリースリングだよね」という生粋のニューヨーカーもいれば、「これなんだろ、おいしいね」とラベルを確認する「普段は飲まない派」も。ちなみにそのワインはアルゼンチンのマルベック。ワインショップで相談すると、「普段は飲まない人でも、きっと気に入ると思う」と勧められたのだった。
2016年と2018年は一人で訪れた。ナイアガラの滝の他、クルーズ(ハドソンリバー、イーストリバー、アッパー湾を巡りつつマンハッタンを眺めるクルーズ)を取材するためだった。イーストリバー・フェリーは、ブルックリンとロウアーマンハッタンをつなぐニューヨーカーのための交通機関とのこと。とはいえ、ブルックリン・ブリッジ、国連ビル、ペプシコーラの看板などの観光名所をパノラマで眺められるので、観光をかねた移動手段としても利用できた。フェリー内ではワインとスナックが販売されていた。Sauvignon Blanc、Cabernet Sauvignon(だったかと記憶している)と表示されたサーバーから、ワインを1杯ずつカップに注ぐシステムだった。簡素なフェリーなのに、赤、白、という括りではなく、品種でワインが売られていることに新鮮な驚きを感じたものだ。
この滞在時には、レッドフック・ワイナリー、ブルックリン・ワイナリー、ルーフトップ・ワイナリーといったいわゆるアーバンワイナリーも訪れてみた。テイスティング時のおしゃべりが楽しく、そしてワインが美味しく、どこでもついつい飲みすぎたり買いすぎたりしてしまった。
次は2020年に行こうと思っていた。しかしコロナ禍が続いてしまった。
さて、2018年の前回の訪問から5年経過した今年、ニューヨークワイン日本公式試飲会(2023年3月30日、IWAI OMOTESANDO)に参加することができた。5年もの時の分断を経て、ニューヨークから来る人々、それもワインの醸造家の方々に会えるというワクワク感で胸がいっぱいだった。
しかも、『GO-TO WINE』が輸入するワインが数多く揃っているとのこと。『GO-TO WINE』はニューヨークワインの輸入・販売における先駆者にして第一人者であり、ワインのプロや愛好家を問わず非常に広く知られているインポーターである。最近オープンした『go-to wine shop & bar』(東京都世田谷区経堂)は、日本に居ながらニューヨークのワイン文化を実感できる貴重な場所だ。
3年前の2020年2月、「世界を旅するワイン展(伊勢丹新宿店)」にて、『GO-TO WINE』が輸入するウォルファー・エステート(ロングアイランド)のロゼワインを試飲した。あまりに美味しかったのでその場で即座に購入し、それ以来何度も飲んでいる。先日のニューヨークワイン日本公式試飲会にて、そのウォルファー・エステートのワイン数種を試飲でき、セールスディレクターのMindy Crawford氏にお会いすることもできた。
5年前の2018年、ニューヨークの訪問に先立ち、『GO-TO WINE』の代表である後藤芳輝氏に、ロングアイランドとフィンガー・レイクスの訪れるべきワイナリーについてとても丁寧に教えていただいた。今、2024年の春を目指して、ニューヨークを訪ねる計画を立てている。そのときこそ、教えていただいたロングアイランドとフィンガー・レイクスの訪れるべきワイナリーに必ず行ってみようと思う。少し先の計画になるが、経堂に行けばニューヨークがあるから問題ないのである。
追伸:
余談だが、PEN AMERICA(2018、ニューヨーク)のイベントではショーン・ペンさんの対談に行ってみた。対談終了後、話しかけてみようかと思ったがやめておいた。(自由に話しかけてよいのだ)「『ツリー・オブ・ライフ』は『2001年宇宙の旅』みたいですね」とか、「『21グラム』を通して死と命の定義について考えました」とか?あのほとばしる知性を前にしては、どんな感想も無意味に思えてしまう。